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高橋佐和子

本屋さんの読書日記 [山下書店 南行徳店 高橋佐和子さん]

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月刊J-novelで連載している人気コーナー「本屋さんの読書日記」がエディターズ・チョイスでも読めるようになりました。毎月、全国の書店さんに最近読んだ中でオススメの本を紹介いただきます。今回は山下書店南行徳店の高橋佐和子さんの登場です。

山下書店 南行徳店 高橋佐和子さん
「一生懸命に生きる」

○月○日 千早茜『桜の首飾り』(実業之日本社 1365円)
人の性格は千差万別とはよく言ったもので、七つのお話の中には実に色んな性格の男と女がでてくる。
人と関わろうとすると、時に悩み傷つくこともあるだろう。心の中がからっぽになりそうなとき、誰よりも傍で「だいじょうぶ」と言ってくれる存在がいる。そのことが心を強くしてくれるのだと教えてくれる。

○月○日 朝比奈あすか『憧れの女の子』(双葉社 1470円)
結婚、夫婦、家族。一緒にいると忘れてしまう大切な感情。家族は支えあうものだなんて簡単に言うけれど、本当はとても難しい。滑稽だったり残酷だったり艶美だったりする物語が五つ書かれている。
責めるのではなく受け入れることの大切さを伝えてくれている。素直にさせてくれる力が物語に詰まっているように思う。

○月○日 平川克美『俺に似たひと』(医学書院 1680円)
人は時を経て老いていく。そのとき直面するであろう介護について、自身の経験を元に書いている物語である。
想像しがたい感情が溢れているのに、文章は淡々と綴られている。感情が抑えられているので、じっくり向き合うことができる。「私」ではなく「俺」という表現が、より胸に迫る。怖いし不安だ。それでも、親子という繋がりを大事にしたいと思える。
自分は孤独だと思う人がもしいるなら、手を繋いで一緒に歩んでくれる本書を読んで欲しいと思う。

○月○日 詩/ 谷郁雄 写真/ 青山裕企『透明人間 再出発』(ミシマ社 2625円)
一生懸命頑張っていると、何だかわからないけれど、悲しくなるときがある。そんなときは優しく包み込んでくれる詩を読みたい。
世界初の造本。詩と写真がものすごく惹かれる。言葉が、私を癒してくれるのだ。
自分が存在しているという意味。それは、まだ分からないけど、笑顔で頑張っていたらきっと見つかる。そう信じさせてくれる本と出会えた。悩んで泣いて笑って、あっという間に月日は経つ。

○月○日 星野源『そして生活はつづく』(文春文庫 580円)
日常のこと、生きる意味について真面目さと不真面目さが絶妙なハーモニーを奏でる本書は、生活する上でのちょっとしたことを真剣に書いているのだが、ほろりとしたり笑ってしまうのである。最終的に生きるというのは、そういうことなのだと思う。
真面目に楽しく生きていきたい。そして少しでも多くの人の笑顔を見ていたい。
私自身の生きる意味を見つけられるよう、これからも一生懸命本と人を繋ぎ続けていきたいと思う。



※本レビューは月刊J-novel 2013年4月号の掲載記事を転載したものです。