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ブルーガイド編集部

ソウルを拠点に地方都市へ ~K-shuttleで行く周遊の旅~

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日本から毎年300万人超が渡航する国、韓国。
その多くを占めるのはソウルへの旅行者ですが、実は韓国には地方都市にも魅力ある街が多いのです。
ただ、地方へのアクセスは少々不便なところが難点。しかし2012年夏、そんな悩みを解消できる交通手段が誕生! 地方主要スポットを循環する外国人専用シャトルバス「K-shuttle」です。
今回、ソウル観光公社の方にご案内いただき、K-shuttle、そしてシャトルバスで巡る地方都市を取材してまいりました!

K-shuttleの車両は最新型の35人乗り大型バスで、救急処置の資格を持った英語通訳専門ガイドも同乗。利用客は各停車スポットで自由に乗降可能となっており、一部区間だけ利用したり、降車して観光を楽しんだ後、次のバスで再度旅行を続けたりすることもできます。ばらばらに切符を手配しなくて済むのは便利ですね。


(左)ソウルでは光化門の東和免税店駐車場から発車 (右)ゆったりしたバス内部

このように区間ごとの移動手段として利用できるほか、ホテルとセットになった2泊3日のパッケージツアーも用意されています。コースは2系統あり、ソウルから釜山、慶州(キョンジュ)、安東(アンドン)、原州(ウォンジュ)、江陵(カンヌン)、平昌(ピョンチャン)を巡る東南部一周コースと、ソウルから扶余(プヨ)、全州(チョンジュ)、麗水(ヨス)、順天(スンチョン)、釜山を巡る西南部一周コースとなっています(開催曜日、料金、予約はホームページhttp://www.k-shuttle.com/にて確認を)。

扶余――百済王朝最後の首都

ここで、今回の取材で訪れたいくつかの周遊先をご紹介しましょう。まずは扶余。百済王朝終焉の地であり、独自の文化が育ったところです。街の北側にある扶蘇山に王宮が築かれましたが、新羅や唐の軍に攻撃され滅びました。


扶蘇山城入口。奥へ行くと、少々勾配のある散策路が続く

山の北側に面する白馬江では遊覧船も運航されており、白馬江に身を投げた官女たちの姿がまるで花が落ちるようだったという伝説から「落花岩(ナックァアム)」と呼ばれる断崖を川側から見ることができます。


(左)奥に写るのは、落花岩の上に建つ東屋、百花亭(ペックァジョン)
(右)遊覧船から望む落花岩。赤丸の部分に、赤い文字で「落花岩」と書かれている


全州――グルメの都として名高い伝統の街

全州のある全羅道(チョルラド)は、農作物の豊かな地としても知られており、そのため食文化が発達していきました。この街を訪れたなら、名物「全州ピビンパプ」や、二日酔いにも効くといわれる「コンナムル(豆もやし)クッパプ」は是非いただきたいもの。
特に全州ピビンパプは、温度キープのための冷めにくい真鍮の器に、伝統に従った5色の素材を美しく配したその彩りに目も喜ぶこと間違いなしです(でも、食べるときには潔くすべてをまぜまぜして、コチュジャン色に染め上げてくださいね)。


「家族会館」の全州ピビンパプ。パンチャン(つきだしのおかず)も盛りだくさん!

全州は伝統家屋が建ち並ぶ街としても有名です。「全州韓屋村」は、伝統家屋である韓屋(ハノク)が800棟あまりも密集しており、風情を感じながら散策をしてみるのも一興。伝統建築物を宿にした旅館などもあるので、身近に韓国文化を感じてみては。


(上)エリア全体に韓屋がずらり (下)韓国でおなじみのチェーン店「PARIS BAGUETTE」も、全州ではこんな韓屋スタイル

順天――干潟と葦原が広がる自然の宝庫

 今年(2013年)、国際庭園博覧会が開催予定の順天は、ラムサール条約にも登録されている湿地帯「順天湾」を有しています。遊歩道が整備されているので、散策しながら貴重な生態系を観察することができるんです。


(左)順天湾自然生態公園。園内には模型や説明ビデオを備えた展示館のほか、遊覧船やミニSLも運行
(中)国際庭園博のゆるキャラ? 飛来するナベヅルがモチーフ (右)葦原に続く散策路にはこんな説明も


順天の名物グルメは、なんとムツゴロウ! トゥッペギ(石鍋)にぐつぐつ煮込まれて登場です。韓国料理のチュオタン(ドジョウ鍋)のように身はすりつぶされているため、言われなければムツゴロウだなんてまったくわかりません。少々お高いですが、めったに食べられるものではないので、機会があればどうぞお試しを。



安東――両班(ヤンバン)文化の息づく街

世界遺産に登録された安東河回村(ハフェマウル)のある街。
両班(韓国の貴族)の豊山柳氏(俳優リュ・シウォン氏の実家の家系)がこの村に住んでいたため、両班屋敷など300~500年前の伝統家屋が保存、村全体が重要民俗資料に指定されています。イギリスのエリザベス女王が訪れたときには、「最も韓国的な面影を守っている場所」と賛辞を惜しまなかったそうです。
村内には宿泊施設や食堂もあり、2時間程度で散策も楽しめますが、今でも普通に人々が生活している一般家庭の伝統家屋も多いのでご留意を。


食堂の前に置かれていた安東焼酎の空瓶。仮面型の瓶はおみやげにもよさそう

ほかにも伝統仮面劇「河回仮面グッ」の公演や「安東国際仮面舞フェスティバル」期間に行われる洛東江の綱火(花火の一種)など、伝統を感じさせるイベントに触れるのもおもしろいでしょう。

名物料理は安東チムダク。ピリ辛の鶏の煮込みです。骨付き鶏と野菜、春雨がごろごろ入っていてボリューム満点。そのほか、安東カンコドゥンオ(塩サバ)もオススメです。地酒ともいうべき安東焼酎とともにどうぞ。ただし、アルコール度数高めなので飲み過ぎないように!


(上)熟成された味わいの安東カンコドゥンオ。2人分で1匹だが、大きいのでそれでサイズ的には充分
(下)安東チムダクは醤油ベースの色のわりにピリ辛。白いご飯必須!


平昌――冬季五輪に向けて着々と開発中

2018年、冬季オリンピック開催地に選定された平昌は韓国の北東部、標高700mに位置する街。『冬のソナタ』のロケ地となった龍平(=ドラゴンバレー)スキーリゾートやアルペンシアリゾートがオリンピック会場となる予定で、特1級のインターコンチネンタル アルペンシア平昌リゾートなど、ホテルも続々とオープンしています。


(左)2018と書かれたモニュメント。かわいい♪ (右)アルペンシアリゾート内はヨーロッパの街のような景観

取材日は晴天で気温が低く、前夜から人工降雪機がフル稼働。平日ということもあってお客さんはまばらでしたが、落ち着いた街並みや数多く設置された飲食店など、オリンピック開催へ向けて整備が進む様子がうかがえました。


インターコンチネンタル アルペンシア平昌リゾートホテルからライトアップされたゲレンデをパチリ。
左手に建つのはホリデイイン アルペンシア平昌スイーツホテル


江陵――文化史跡と恵まれた自然環境を有する都市

海に面した江陵は江原道東部の街。
そのエメラルド色の海で知られる鏡浦海水浴場があり、海産物のおいしいエリアとしても名高いところです。
また、文化史跡も数多く残り、300年前の朝鮮時代の上級両班家屋が保存・復元された指定文化財「船橋荘(ソンギョジャン)」や、宝物指定されている「烏竹軒(オジュクホン)」など見どころも豊富。特に、船橋荘では映画『食客』やドラマ『宮』『ファン・ジニ』などのロケが行われたことでも有名で、韓流ドラマファンが訪れることも多いとか。


船橋荘入口。当主一族が住んでいたところ

当主一族は今でも敷地内の別棟に居住されているそうですが、現在は伝統文化体験館や図書館、民俗資料展示館なども併設し、かつて当主の親類が住んでいた民家は宿泊施設として提供するなど、文化を受け継ぐ空間として公開されているとのことでした。


宿泊施設となった瓦葺きの民家「弘礼館」。テレビもあり快適に過ごせる

ソウルはそろそろ卒業という方、地方にも目を向けてみたい方の最初の一歩としてぴったりの移動手段、K-shuttle。まだまだ知らない韓国の魅力を探しに、このシャトルバスを利用してみてはいかがでしょう?

(取材協力:ソウル観光公社)