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100年前の東京を「微地形」から読み解くと…?

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100年前の東京を「微地形」から読み解くと…?画像1
「微地形」、つまり「数cmから数mの標高差」から街を読み解く、という楽しみ方をする人が増えています。人気テレビ番組『ブラタモリ』でも地形は主要テーマであり、私もそうした街歩きの愛好者たちと一緒に東京、あるいは地方都市を歩き回っています。

実業之日本社では、その楽しみに必須である地図・地形を自在に扱うパソコンソフト「カシミール3D」(杉本智彦氏制作)の解説書を刊行し、十数年のロング&ベストセラーとなっていますが、今回、その機能を駆使して、100年前の大正5年測量の1万分の1地図と明治16・17年測量の「五千分一東京図測量原図」に標高をわかりやすく表現して重ねた地図から東京を読み解く『明治 大正 凸凹地図 東京散歩』(内田宗治著)を刊行しました。




誌面は画像をご覧いただいたほうが早いと思います。これは大正5年測量の地図です。ここに浮かびあがるのは、まだ関東大震災が襲う前の、山手線が全通していない時代の東京。地形の表現があるからこそ、高台の空白と、低地・谷筋の赤い斜線が目立ちます。

空白ということは、屋敷地が広いと言うことです。当時は大きな屋敷地には居住者の姓が掲載されており、左上が「高松宮御用地」(現有栖川宮記念公園)、その下には「徳川(尾張)邸」、右には「松方邸」。右上には「渋沢邸」「蜂須賀邸」「三井邸」「松方邸」が並びます。中央下が東宮御所、その右は「華頂宮邸」。なお、当時の政治家や財界人はいくつもの屋敷を持っていることが多々あります。

対して、低地・谷筋の赤い車線は「民家の密集地」です。つまり、高台には皇族や政治家、財界人が、低地には庶民が住んでいたことがよくわかります。



明治時代の地図も、同じように高低差がわかる地図を掲載することで、いろいろなことが読み取れます。上の地図、中央部に南北に流れる川のようなものは「溜池」です。地下鉄の駅名に残る「溜池」です。



従来、こうした本には「地図が小さい」というジレンマがありました。そこで、本書には、新聞紙見開きよりも大きな90cm×60cmで、ほぼ山手線内を表裏に収録した1万分の1地形図を付属します。大判紙地図のよさは、広範囲を一覧できること、寄って見たり引いて見たりすることでスケール感が自在なことです。東京好き、歴史好きの人は目が釘付けになることでしょう。この地図を自由に眺めながら本書をご覧いただければ、より本書の内容がよくおわかりいただけると思います。

10月15日頃の発売です。定価は2400円+税。内田氏の前著『「水」が教えてくれる東京の微地形散歩』と合わせてぜひご覧ください。