吉行淳之介 物書きのたしなみ

タグ
シリーズ
  • 新書判240ページ
  • 2014年02月27日発売
  • 本体価格 1000円+税
  • ISBN 978-4-408-59408-8
    • 品切重版未定
吉行淳之介 物書きのたしなみ

内容紹介

小説読者、文学を志す人の必読の書が新装版で復活!

従来出版されている「小説作法」、「文章読本」といった本は、書き方に力点の置かれたものがほとんどで、読み方は別組になり「小説鑑賞」といった形になっている。本書は、文壇の中でも優れた小説読みとして名高い吉行淳之介のエッセイの中から、小説の読み方書き方に関する作品を抜き出し1冊にまとめた。

著者は自らの小説スタイルを「私はカタルシス型の小説家ということになるだろう。カタルシス型とは、つまりこういうことである。生きてゆくうちに、なにやら躯のなかに沈澱してくるものができる。それがしだいに蓄積してゆき、もやもやと重苦しくなってくる。それを吐き出さないではおられない心持になってくる。そのとき、その吐き出すものを、小説という形で吐き出すわけである。このタイプは、当然、寡作ということになる。そして、一作書き終ると、もう書くものは何もない、という心持になる。(「小説の処方箋」)」といい、「自分自身の体験を喰い尽すと、他人の話からヒントを得ようとする試みもやってみることになる」。だが、自分のもの以外の材料で書く場合は、「それを自分の身に引きよせ、躯の中にもぐりこませ、醗酵させた上で作品にしなくてはならない。その醗酵に時間をかける余裕があまりないのが通例だから、甘酒でいえば速成甘酒をつくる方法でやらねばならぬ。そのためには、密室にこもって、ウンウンうなる必要がある。筋を考えたり、ディテールについて考えたりするのではなくて、ただやみくもにうなるのである。すると、そのうちにかすかに道が開けてくる」など、ときにユーモラスに軽妙に語る。

一方、永井荷風、森茉莉、谷崎潤一郎、そして筒井康隆、柴田連三郎など幅広いジャンルの小説を独自の視点を交え明解に読み解く「小説読み方」編では、小説を読む醍醐味を再認識させてくれる。