「ももクロ論」書影

ももクロ論 水着と棘のコントラディクション

清家竜介 ( セイケ リュウスケ )

桐原永叔 ( キリハラ エイシュク )

B6判変型 304ページ

2013年09月19日発売

価格 1,320円(税込)

ISBN 978-4-408-59399-9

在庫なし

ももクロとAKB48が慰撫するわれわれの「呪われた部分」とは?

ももいろクローバーZの魅力を読み解く評論集。カバーイラストは漫画界の鬼才・カネコアツシ。
3.11後の社会と激しくシンクロし、世代を超えた熱狂的なファン(モノノフ)を生み出したももいろクローバーZ。念願の紅白出場後に、彼女たちは棘のマスクをかぶり禍々しい姿で変革への意思を表明した。一方のアイドル界の覇者AKB48は、お約束の水着姿を披露し愛らしい笑顔を振りまく。この好対照の二つのグループは、どんな社会的想像力に対応しているのであろうか。

本書第1部の「アイドル消費における鎮魂とカーニヴァル」は、ディストピア化が進む現代日本の社会状況を検証し、ももクロとAKB48が慰撫するわれわれの「呪われた部分」に光を当てる。そしてこの二つの人気グループが、大衆の欲望の処理については、全く正反対のベクトルを持つことを明らかにする。第2部の「まばゆい笑いの発作」では、これまで言及されてこなかったパフォーマンスの特性を分析し、ファンを魅了してやまないももクロの「全力」について徹底的に解明を図る。エリントンにおける“スゥイング”やキース・リチャーズにとっての“ロール”同様、記述化を拒むももクロの偶発的なノリの正体に鋭く迫る。ももクロを語ることはすなわち、「遊びと笑い」「祝祭と運命」「死と再生」について、現在を生きる者が何を求めようとしているのかを語ることにつながった。

【本書より抜粋】
「ももクロの『5TH DIMENSION』は、ディストピア化した現実のなかでもがき苦しむわれわれの“未成熟な意識からの脱出”を主題にしている。〈妹の力〉に優れたももクロの言霊は、容易に変わらない社会的閉塞状況を何とか突破しようとしている。」(清家)

「ライブの終盤、高い負荷に耐えることで現前してくるリアルとしての――荒い息遣いとともに浮かぶ――笑いのまばゆい発作を、私たちは全力の証左として、一生懸命の証拠として認めるのではないか。」(桐原)

第1部 ももクロはAKB48を超えるか?
 ――アイドル消費における鎮魂とカーニヴァル
序   “紅白の向こう側”のアイドル革命『5TH DIMENSION』の衝撃
第1章 3.11と鎮魂としての芸能
第2章 Z革命と“妹の力”
第3章 消費文化の幻想と“ももクロ”
第4章 不可能性の時代の“ももクロ”
第5章 逆襲する“ももクロ”
第6章 “AKB48”VS“ももクロ”炎の最終決戦
むすび カーニヴァルの向こう側

第2部 まばゆい笑いの発作
 ――アイドルとロックのためのパフォーマンス論
第1章 大衆音楽批評と、語りえないもの
第2章 アウトサイドのアイドル
第3章 楽譜に載らない音への欲望
第4章 クラウドソーシング時代のエンターテインメント
第5章 発声と即興、ダイアローグとポリフォニー
第6章 異化効果、他者の喪失
第7章 カーニヴァル、まばゆい笑いの発作

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