20

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  • A6判352ページ
  • 2013年10月04日発売
  • 本体価格 648円+税
  • ISBN 978-4-408-55143-2
    • 在庫あり
20

内容紹介

凋落した名門に奇跡は起こるか!? “20球”を巡る20の物語

 ホームプレートに向き直る。仲本が両手を大きく広げ、待ち構えた。まるで、お前だけストライクゾーンを広目に取らないと、とでも言いたげに。それにしても仲本さんも、淡々としてるよな。ノーヒットノーランまであと三人なのに、興奮するでもなく、まるで負け試合のように機嫌が悪い。意識しないようにしているのかもしれないけど、何だかこちらまで乗りが悪くなってきますよ。
 あと三人だぞ、と意識し始めると、緊張感で頭が膨らみ、集中力が飛んでしまう。プロ入り初先発でノーヒットノーランを達成したピッチャーが何人いるだろう。自分がここで偉業を達成すれば、歴史に名前が残るはずだ。それより何より、来年も首がつながるのではないか。
 そう考えると、体の中心からパワーが湧き出てくる……のではなく、さらに緊張してきて、頭の中が真っ白になった。サインを覗きこもうと上体を前に倒すと、体がぎくしゃくする。ふいに、もう投げられないのではないか、という恐怖に襲われた。(本文より)

低迷に喘ぎ、売却が決定した名門球団<スターズ>。本拠地でのシーズン最終戦、プロ初先発のルーキー有原秀は、ノーヒットノーランのまま9回を迎えた。スターズのリードは1点。快挙達成へのアウト3つを奪うため、ルーキーが綱渡りで投じる20球を巡り、両軍選手や監督ほか関係者の思惑を1球ごとに、語り手を替えて濃密に描き出す。堂場野球小説の真骨頂、渾身の書き下ろし!