全部抱きしめて

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  • A6判368ページ
  • 2013年10月04日発売
  • 本体価格 619円+税
  • ISBN 978-4-408-55141-8
    • 在庫あり
全部抱きしめて

内容紹介

すべてを捨てて、誰かを愛せますか?

「友情でもダメか」
 ふいに諒が言った言葉が意外すぎて、理解するのに時間が掛かった。
「友だちになりたいって言うの?」
 理解すると同時に、やっぱりおかしくなった。おもしろいというより、ばかばかしい。
「いまさらお友だちなんて」
 最初は会社の同僚だった。友だちと言ってもよかっただろう。私はそのままでもよかったのだ。それ以上を望んだのは、諒の方だったのに。
「それとも、私に罪悪感を抱いているから、せめて友人として助けたいってこと?」
「そうじゃない。……ただ、奈津子の傍にいたいだけだ。どんな形でも。友だちでも」
「結局、よりを戻したいってことじゃない。いまさらそんな。虫がよすぎる」
 諒の顔が傷ついたように歪んだ。それでも、言わずにはいられなかった。
「起こってしまったことは戻らない。私たちは別れたんだし、いまさらやり直すなんてできないわ」
「俺は別れるつもりはなかった。奈津子がひとりで決めたことだ」(本文より)

出版社で編集の仕事に携わる42歳の奈津子は、7歳年下の同僚、営業部に勤める関口諒と激しい恋に落ちた。だが、家庭ある身のふたりの恋は引き裂かれ、奈津子は仕事も家庭も失ってしまう。それから一年、ひとり暮らしを始めた奈津子の前に、再び諒が現れる。「恋人でなくてもいいから、傍にいたい」と訴える元・恋人の真意を訝りながらも、孤独に苛まれる奈津子は誘いを拒むことができない。一度壊れた恋は蘇るのか、それとも……。大ヒット『書店ガール』の著者による渾身の書き下ろし。“究極の”不倫小説!