内容紹介
音楽に国境があってはいけない!
「ニューズウィーク日本版・世界が尊敬する日本人100」に選出された、日本人指揮者・柳沢寿男。それはコソボ紛争により激しい民族対立をしていたセルビア人・アルバニア人・マケドニア人音楽家を楽団員にしたバルカン室内管弦楽団を設立し、歴史的演奏会を実現したことによってである。ユーゴ紛争によって民族が分断した以後、約20年ぶりともなる各民族の共演は大きな話題となり、2010年にはニューヨーク国連総会で演奏を披露。2011年5月には、音楽の聖地ウィーンでの公演も実現した。今、彼が設立したバルカン室内管弦楽団は、戦争の悲惨さとともに平和のハーモニーを奏でるオーケストラとして、世界各国からオファーが届いている。しかし、その大成功の裏にはいまだ残された戦争の爪痕や民族の壁など隠されたドラマがあった。日本人指揮者がなぜ、バルカンの地での民族共栄を望んだのか、柳澤寿男の半生と苦悩を描いたノンフィクション作品。