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吉田憲

「ブルーガイド・ポシェ ブラジル」監修・吉田憲さんに聞くブラジルの魅力[後編]

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ブルーガイド・ポシェ「ブラジル」の監修をしていただいた、JICA青年海外協力隊事務局中南米課長の吉田憲さんに聞くブラジルの魅力後編は、ブラジルの観光についてです。広大な国土に散らばる大自然の神秘、パワフルなブラジル料理についてなど、気になるお話が満載です。

――ブラジル観光でここは抑えておいて!といえば、どこでしょうか。

吉田 本当にたくさんあるので難しいですが、まずはリオでしょうね。そしてぜひリオのカーニバルに「参加」してみてほしいですね。

――「参加」となると、ハードルが高そうですね。

吉田  観戦するという印象が強いと思いますが、ガイドブックにも書いたように比較的参加はしやすいんです。ネットから日本でも申し込めます。300~800USドルで、衣装込み。しかもその衣装は持ち帰ることもできます。私も参加して、衣装は家宝にしています。一生に一度の忘れられない体験になることは間違いないです。


吉田さんが参加したリオのカーニバル

――アマゾンやイグアスなどの大自然もブラジル観光の醍醐味だと思いますが、そのあたりはどうでしょうか。

吉田 アマゾン、イグアスももちろん良いのですが、私は“ボニート”をお勧めしたいです。パンタナールの南約130kmのところにある大自然の魅力を存分に感じることのできる場所です。世界的に有名なダイビングスポットや魚と一緒に泳げるといったところはたくさんありますが、ボニートは群を抜いていますね。ダイビングの設備がなくても、素潜りで数千匹の魚と一緒に泳げてしまう、それくらい川の水が透き通っています。

――まだまだあまり知られていない場所ですよね。

吉田 有名になってきたのはここ7~8年でしょうか。ようやく観光客向けの施設が整ってきていて、ちょうど今がそこまで人も多くなくて良いのではないかと思います。本当に写真のように魚と一緒になって泳ぐという貴重な体験ができます。


ボニートでは魚と一緒に泳げる

――個人的には、最近日本のメディアでも取り上げられ始めたレンソイスも気になります。

吉田 ここもボニート同様、ここ10年くらいで有名になってきました。レンソイスというのはシーツという意味で、その名の通り真っ白な砂丘が広がっています。雨季に降る雨が真っ青な水たまりとなり、圧倒的な景観を生み出しています。まさに大自然の驚異です。行くのであればこの水たまりがある雨季直後の6月~9月がベストでしょう。


レンソイスはまさに死ぬまでに見たい絶景だ

――日本人にも人気のイグアスの滝はどうでしょうか。

吉田 高さ70mから流れ落ちる250もの滝というのは、並大抵の迫力ではないですね。特にすごいのは、この滝壺までボートに乗って近づくことができるというツアーがあります。水着やビニールカバーを羽織って乗船。びしょ濡れになってしまいますが、「これぞ大瀑布!」ということを体感できるというのは、なかなか他では体験できないことです。


世界三大瀑布のひとつ、イグアスの滝

――自然を中心に本当に見どころが多い国ですね。観光といえば「食」も重要な要素になってきますが、ブラジルの料理はどんなものでしょうか。

吉田 人種の坩堝ということもあって、世界中から様々な料理が入ってきていますし、そういった料理と地元の料理が融合して作られてきたのがブラジル料理です。中でも一番有名なのがブラジル風BBQのシュラスコでしょうか。ブラジルらしい豪快さもあり、イチオシですね。


これぞ豪快なブラジル料理

――家庭の味というとどんなものになるのでしょうか。

吉田 それはフェイジョアーダでしょうね。臓物と一緒に豆を煮こんだもので、これを白米にかけて食べます。ただ、これはお腹にズシンとくるので、ブラジルでは水曜日と土曜日の昼に食べるというような風習があります。

――海産物を使った料理も多いと思いますが、その中でおすすめはありますか。

吉田 これはムケッカですね。日本風に言うと海産物のシチューでしょうか。デンデヤシというヤシの油を使って、トマトとココナッツをベースにしたこってり味のスープに様々な海産物を入れて煮込んだブラジル北東部料理です。ごはんとの相性も抜群ですね。


具材たっぷりの絶品ムケッカ

――どれも美味しそうで、腹持ちも良さそうですね。お酒はどうですか。

吉田 お酒はこの国には欠かせませんね。地酒という意味では、ピンガ、カイピリーニャがありますね。飲み方は日本の焼酎と同じで、ストレートで飲むものをピンガといい、カイピリーニャはピンガを砂糖とライムやレモンなどで割ったカクテルです。

――カイピリーニャはさわやかな感じがしますね。

吉田 本当に口当たりが良くて、いくらでも飲めてしまう…気がするのですが、私もこれで何度失敗したかわかりません(笑) 最近、現地の流行は「サケピリーニャ」と言って、ピンガを日本酒で割ったものです。


濃いブラジルのお酒

――それはまたお強そうな…

吉田 そうですね(笑) ブラジルは世界最大の日系社会があることでも知られているように、日本の食材が手に入りやすいんですね。日本酒に限らず、醤油や豆腐などもブラジル産があり、ブラジルの家庭でも使われていますね。

――そうなんですね。他にもブラジルと日本の繋がりがわかる代表的なエピソードはありますか。

吉田 「銀座でぶらぶら歩く」ということを「銀ぶら」と言いますが、もともとの由来は、「銀ブラ(銀座でブラジルコーヒーを飲む)」という言葉だったんです。 今も昔もブラジルはコーヒーの大生産国。日本人移民がつくったコーヒーを飲ませる店が銀座に開店し、「銀ブラ」という言葉が流行ったんです。当時の総理大臣・大隈重信は「移民が生産しているブラジルコーヒーは準国産品だ」と大いに宣伝していたんですよ。

――日本とも繋がりの深い国で、大自然、街、食、人と見どころは尽きないですが、日本からの距離などなかなかハードルが高く、躊躇している方々も多いと思います。そんな行きたいけど、どうしようと思っている方々の背中を押す一言をお願いします。

吉田 いろいろ見どころや食などありますが、やはりブラジルの良さは「ブラジル人」ですよね。言葉ができるかは関係ありません。道に迷えば親切に教えてくれるし、重い荷物を持っていれば助けてくれる。そういったブラジル人の陽気な人柄に触れることは、最高に楽しい経験になると思います。移民の歴史を通じて日本とブラジルは「親戚の国、兄弟の国」ですから、是非一度、足を運んでいただいて、その底抜けに明るい空気に身を置いてもらいたいですね。


Oi!オイ!(ブラジルの挨拶の言葉)で笑顔が返ってくる