「障がいは個性」と言う人はいるけれど、この言葉すら関係ない?のがeスポーツ

障がい者雇用支援を目的としたeスポーツ大会「ePARA2019」が開催されました。

 

パラスポーツマガジンでも既報のとおり、障がい者のeスポーツ大会が各地で行われるようになりました。そのなかで、今年初めて開催された「ePARA2019」の特徴は、障がい者の雇用支援を目的としていることです。大会を企画したのは、品川区社会福祉協議会の品川成年後見センターに勤務する加藤大貴さん。国家公務員を辞めて福祉の世界に飛び込んだ加藤さんは、障がい者と触れ合うなかで、「障がい者も健常者も、まったく変わらない」ことに気づかされたそうです。同時に、法定雇用制度のもとに進む障がい者雇用の裏側にある現実(障がい者に関する知識不足のため、雇用側がどんな仕事をまかせていいかわからない、実力に見合った仕事を与えられない、など)を知るに至ったと言います。

小中学生、女性、ゲーマーら多彩なメンバーが参加

そして「障がい者が思う存分個人の能力や努力、熱意を発揮する場を作って、『障がいがあるというだけで区別するのはおかしい!』ということを再認識する機会を作りたい」と考えた加藤さんが発案したのが、このeスポーツ大会。以下の3つを実現することを理念に掲げました。

  • 大会を通じて、障がい者は「障がいという個性をもつ仲間」だということを伝えたい
  • 努力を重ねてeスポーツの腕を磨いた人が、企業からスカウトを受ける仕組みを作りたい
  • 上記を通じて、障がいの有無で人を判断するのではなく、個々人を尊重した世界を実現したい

車いすYouTuber寺田ユースケさん(中央)チーム。大会の模様をYouTubeでライブ配信した

 

11月24日、会場となったパセラ新宿本店には、4チーム12名が参戦。車いすYouTuberの寺田ユースケさんが率いるチームや、日本初のeスポーツアスリート雇用をされた障がい者のチームなどが、日ごろの練習の成果を「鉄拳7」で競い合いました。

また、これに先立って行われた「ぷよぷよe-sports」大会には、このイベントのアンバサダーに就任した乙武洋匡さんが参加。寺田さんとぷよぷよ対戦をしました。このほか、北海道の国立病院機構八雲病院の患者さんとのオンラインでの対戦も行われ、会場は熱気と歓声に包まれました。

プロゲーマーS.H.O.Wさん、メインMCのコーリーさん、ゲストの星ノこてつさん、MCの中嶋涼子さんが出演(右から)。イベントを大いに盛り上げた

優勝した「カステラ(たこ焼き味)」チーム。優勝賞金10万円と副賞のプレステ4用モニターなどをゲット!

寺田ユースケさんと対戦する大会アンバサダーの乙武洋匡さん(左)、乙武さんと加藤大貴さん(右)

 

今回の大会はプレイベントと位置づけられ、2020年以降は大会希望を拡大していく予定とのこと。「eスポーツを通じて、障がい者の練習・大会当日の様子を障がい者を雇いたい企業にアピールし、採用や職場定着までのサポートしたい」と将来を見据える加藤さんですが、この活動は徐々に形になり始め、今回出場したeスポーツアスリート雇用をされた選手をはじめ、企業スポンサードや雇用の話が進んでいるそうです。ePARAの今後の発展に期待が高まります!

取材・文/編集部

写真/主催者提供、編集部