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  パラスポーツの更なる普及を求めて!

パラスポーツの更なる普及を求めて!

首都大学東京は、パラスポーツに関する研究を積極的に行っていることで有名だ。2016年にはパラスポーツの裾野を広げるため、床冷暖房方式を入れるなどの改修を体育館に施した経験もある。障がい者の支援を絶えず行い、現在は東京2020大会に向けてパラスポーツの普及活動に力を入れている。 そんな実績のある大学の荒川キャンパスで2019年3月10日、パラリンピアンの野島弘さんとアイドルの猪狩ともかさんをゲストに招いた「パラスポーツ体験教室」が開かれた。およそ100名の参加者は大人から子どもまで幅広く、パラスポーツの注目度がうかがえる。 イベントは講堂で行われるゲスト2名の対談からスタート。「パラスポーツを楽しむこと」をテーマに、約50分のトークセッションが行われた。 そのなかでも「パラスポーツの秘密」というコーナーは、参加者の満足度が高かった。猪狩さんから野島さんにむけて「選手の年収」「オリパラ選手村の実態」などの疑問が投げかけられるのだが、2006年のトリノパラリンピックに出場した野島さんから飛び出る体験談は非常にユニーク。パラアスリートの裏事情を知れるまたとない機会となった。 対談後半には「王子ホールドスターズ」というボッチャのクラブチームを招いて、野島さんと猪狩さんがボッチャを体験。ボッチャは障がい者スポーツのなかでもルールの簡単さが特徴で、ルールやテクニック、競技としてのおもしろさを学んだ。 対談終了間際には質疑応答の時間が設けられ、「雨が降ったとき、車いすでは傘をさせるのか」「車いすで坂道を下るときは怖くないのか」などの興味関心が飛び交う。 普段何気なく過ごしている日常生活での動作も、車いすで同様にはできないもの。そんな健常者と障がい者の微妙な違いに触れることができたのではないだろうか。ちなみに野島さん、傘をさすのは難しいので男らしく濡れるのだそう。 短い時間ではあったものの、会場一体となってパラスポーツの知識を深められた。イベントをきっかけにして、パラスポーツに対する理解や関心を高め、ぜひ東京パラリンピックへの興味を働かせてほしいと思う。 対談後は同キャンパス内の体育館に移動し、ボッチャの体験会が行われた。 ボッチャボールに触ったことがない参加者が多数占めるなか、チーム分けからすぐに実際のプレーへ。参加者は戸惑いながらも投球の行方に一喜一憂していて、初めてのスポーツも全力で楽しめた印象だ。みんなで盛り上がれるから、やっぱりスポーツはおもしろい。みんなが平等に楽しめる、そんなボッチャの魅力を全身で感じられるひと時を過ごすことができた。 話を聞くだけではなく、まずはやってみる。短い時間のイベントではあったものの、それ以上の満足感を得られたのではないだろうか。「見たことある」「やったことある」そんな小さい会話からでもかまわない。これからパラスポーツを知ってもらうきっかけに少しでもなってくれたらと願っている。 取材・文/編集部 写真/高橋淳司


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