日本初「障がい者プロゲーマー」養成所が誕生!

「eスポーツ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使って対戦相手と勝ち負けを競うものだ。まだまだ馴染みのない言葉ではあるが、アジア大会にも採用された実績がある。

このeスポーツ、日本でも競技人口を徐々に増やしている傾向にある。オリンピックの新種目としても注目されており、2018年には1億円を超える優勝賞金を手にした日本人選手も現れた。「プロゲーマー」と呼ばれる選手の活躍は目覚ましいものがある。

しかしゲームではあるものの、プロともなると激しい動きを伴う場合も多い。障がい者には難しいのではないか。理解の進んでいない業界だからこそ、疑問は尽きない。

そんななか、重度の障がい者でもプロゲーマーを目指すことができる養成所が群馬県伊勢崎市に誕生した。障がい者支援事業を展開する、株式会社ワンライフが手がける介護福祉施設「iba‐sho」(いばしょ)だ。

元々は生活介護のため2017年に介護施設としての活動を開始したが、高齢で重度の障がいを抱える人にもっとやりがいを見つけて楽しんでもらいたいという想いを抱えていた。その願いをきっかけに、施設を運営する傍ら、ゲームをプレーできる環境をつくり上げたという。

どこよりもはやくeスポーツを取り入れたことで施設は独自の価値を生み出した。いまや月に50〜60件ほど障がい者から問い合わせが届き、メディア取材も殺到するように。今後は施設の数を増やしていきたいと代表取締役の市村均弥さんは話す。

施設内では「リーグ・オブ・レジェンド」というゲームを教えている。ボタン入力の速さよりも、戦術で相手を追い詰めることが勝敗を分ける戦略ゲームで、健常者とのハンデが生まれにくい特徴がある。

ゲームのテクニックを指導するコーチが後ろに立って常にアドバイスをするその光景は、まさにスポーツと呼ぶにふさわしい。

時に優しく、時に厳しい指導を受ける障がい者からは、悔しがる声が何度も聞こえた。

使用する機器はまさに革新的。操作面で困らないよう、さまざまな技術が詰め込まれている。

たとえば、口元にある器具はくわえて上下左右に動かすことで、マウス操作の役割を果たす。そこには3つの管がついており、吸ったり吐いたりする動きに「メニューを開く」などのゲーム操作を割り当てることが可能。最大6パターンを自分の好きなようにカスタマイズできる。

その他にも、手元のアダプティブコントローラーと呼ばれるパッド、頬でタッチすることで機能するチューブなどが充実。多彩な拡張性で、どんな人にも快適な環境を提供できる。

障がい者ゲーマーとしてインタビューに応じてくれた越塚竜也さんは「あきらめていたゲームがまたできるようになって、毎日の楽しみが増えましたね。まだ先かもしれませんが、プロとして対戦できるように日々練習していきたいと思います」と、笑顔で答えてくれた。

練習は1日に4時間ほどで、入居者同士の会話もeスポーツを通して増えているそうだ。明るい環境づくりにも一役買っているのかもしれない。

障がいの垣根を越えた真剣勝負が実現する日も、そう遠くはないだろう。