それぞれの機械に夢や個性を吹き込む
工業デザイナー
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 私たちの身のまわりには、パソコンやオートバイ、万年筆など、工場で大量に生産された製品がたくさんあります。このような製品の色やスタイル、素材などを考えるのが工業デザイナーの仕事です。工業デザイナーはインダストリアル・デザイナーともよばれています。
 たとえば自動車でしたら、これから新車を買おうとする消費者の希望や、時代の流行などを見きわめながら、新しい色、そしてスタイルの自動車のスケッチを描きます。
 描かれたスケッチに対して、自動車の機械技術者や販売担当者をまじえて話し合います。大量生産するものですから、単にデザインとしてすぐれているだけではなく、売れるものでなければならないのです。工業デザイナーの仕事は、このように多くの人との共同作業でもあるのです。
 このような話し合いを何度も繰り返しながら、デザインを決定します。決定したあとは、スケッチをもとに自動車の模型を作り、さらに細かい修正を加えながら最終デザインを決めるのです。
 美しく、使いやすく、安く作れて、大量生産しやすいこと、また、安全性にすぐれ、こわれにくく、海外でも受け入れられること、これが工業デザインの基本です。

仕事の環境
●工業デザイナーの多くは、メーカーや工業デザイン・プロダクションで働いています。●独立して、フリーで仕事をしている人も少数いますが、新製品開発の仕事は、企業秘密であることが多く、フリーといっても専属契約のかたちをとっているケースがほとんどです。

工業デザイナーになるには

これまで・今後
 現在、日本には、1万人前後の工業デザイナーがいるといわれています。工業製品もデザインが重視される時代であり、各メーカーのデザインへの関心は高まっています。これまでは機能重視で、あまりデザインにこだわらなかった分野のメーカーも最近ではデザイン部などを設けるようになってきており、工業デザイナーを採用する企業は増加するものと思われます。  また、生活用品などのデザインを中心に、女性のデザイナーが増え、その活躍が目立っています。

先輩からのアドバイス
 私は、照明器具メーカーでさまざまな照明器具のデザインをしています。この仕事のポイントは、美しくかつ機能的でなくてはなりません。おしゃれなだけで使いにくいようなものは工業製品としては失格ですし、逆に機能的であってもセンスの悪いものは売れません。そこが工業デザインをするうえでのおもしろさであり、苦労するところでもあります。(工業デザイナー・藤岡健次)

こんな人が向いています
 色やスタイルなどに対するするどい感性が要求されると同時に、機械工学にも強くなければできない仕事です。また、多くの人との共同作業になるケースが多く、チームワークも必要です。
『中学生のための仕事発見ガイド』(実業之日本社)より。

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