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ブルーガイド編集部

話題の韓方医療観光を体験![後編]

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韓国の「医療観光」の現場体験レポート後編(前編はこちら)。ツアーで訪問した残りの病院を紹介します。

無手術の脊椎疾患専門治療を得意とする
【自生[ジャセン]韓方病院】

デスクワークの多い仕事をしている人に脊椎疾患が多いといいます。たしかに、普段デスクに向かっていても姿勢の悪さを自覚するときもあり、また、そこから来る肩や首のこり、腰痛にいつも悩まされています。同じような経験を持つ方は多いのではないでしょうか。

「不要な手術はしない」をモットーに、靱帯などを再生させることで脊椎疾患を治療していくというこちらの病院。診察から検査、診断までを1日で終わらせるスピーディさもこちらの特徴で、スポーツ選手も数多く来院。サッカーのパク・チソン選手やフィギュアスケートのキム・ヨナ選手、そして浅田真央選手などが施術を受けにきていたそう。


建物内部の様子。地下にはMRIやCTなどの映像及び診断医学科があります(右)

外国人専門の診療センターも設けられており、日本語ほか英語・ドイツ語・ロシア語の堪能な韓医師や通訳が在籍。予約、問い合わせ、診察の立ち会いから薬の国際配送、通関業務まで受け持ってくれます。

センターに勤めるオーストリア人のロイヤー先生は、かつて自分が韓国で施術を受けたとき、痛みが嘘のように消えたことから韓医学を学び始め、韓国国内で唯一の西洋人韓医師となったのだとか。そんな彼の施術を受けるために、諸外国からの来院が引きも切りません。

治療法として独特なものにまず挙げられるのは推拿[チュナ]療法。こちらはゆがんだ骨とこり固まった筋肉を押したり引いたりすることで本来の位置に戻していくもの。場合によっては推拿薬物も使い、組織を正常に戻して再生効果を図っていきます。

鍼治療もよく併用されますが、いわゆる中国鍼だけではなく、患部に薬剤を注入する注射器のような薬鍼も使います。薬物の治療効果と、鍼による刺激の効果が同時に得られる利点があるとのことでした。

肩こりや腰痛に悩まされている参加者が多かったのですが、編集Tともう1名は診察時に左右の足の長さの違いを指摘され、早速骨盤矯正のための推拿療法を開始。リクライニングシートのようなベッドの上でうつぶせになると、先生はリズミカルにグッ、グッと腰を押したり引っ張ったり……そして「グン!」と決めの一発が入り、治療終了。決して痛いものではありませんが、終わってみると、足の長さもちゃんと揃っています!

その後は鍼治療へ。肩こりには薬鍼が効果てきめんということで、こちらも痛みもなく、あっという間に薬剤が注入されていきます。


薬鍼(左)。肩こり部分にこのように注入していきます

本来ならばさらに韓方薬が処方されるのですが、今回のお試しコースではここまで。こちらの韓方薬も、材料選びから製造、運送まで厳しい管理のもとに行われるため、非常に質の安定したものが供給可能なシステムになっているそうです。

これら推拿治療のほか、「動作的鍼治療」という独自の治療法も特徴的。ぎっくり腰などでまったく動くことのできない患者に鍼を刺し、そのまま運動をさせるものだそう。筋肉を弛緩させることで、救急で運ばれた人も動けるようになるという療法です。ぎっくり腰のつらさは経験者ならよくおわかりかと思いますが、この「動けなさ」は筋肉の急なこり・炎症がもたらすもの。日本では湿布や電気で治療となりますが、あえて動かすというのは意外。しかし、救急で運ばれてきても、これによって自力で帰途についた患者さんが多数いらっしゃると聞くと、その効果には目を見張るばかりです。


江南本院の建物は全部で4つ。インターナショナルクリニックは3の2階にあります

病棟も複数、海外に分院もあり、年間15万人が訪れるという自生韓方病院。ハーバード大などと提携し、常に臨床研究を続けているというその取り組みの姿勢にも信頼が置けると感じました。
http://www.jaseng.jp/

トータルビューティケアシステムを確立した
「江南アルムダウンナラ」

すでにガイドブックでの紹介も多いこちらは、外国人訪問者が多い病院として韓国の各種長官賞を受賞している皮膚科。皮膚科専門医が診察・処方するメディカルエステも人気で(なんと男性にも!)、美白マッコリケア、保湿カタツムリケア、酵素ピーリングケアなど、個人個人に合わせて50種類ものコースが用意されています。

皮膚科のレーザー治療では、色素レーザーによるしみそばかす除去、毛穴レーザーによるニキビ跡の治療、しわレーザーによる弾力改善やリフティングと、こちらも50種類以上のレーザーが。イ・サンジュン院長が韓国で初めて導入したというレーザー機器も数多く揃い、レーザー保有台数韓国No.1の医院なのです。

また、アルムダウンナラの専門医が臨床結果をもとに開発したドクターズコスメも、基礎化粧品から高機能な美容液まで約60種類ほどの製品が揃っています。


(左)オリジナルブランドのドクターズコスメ/ (中、右)芸能人のサインが並ぶ

さあ、早速美白マッコリケアの体験です。超音波を利用して老廃物や角質を除去。ちょっとピリッとしますが許容範囲内。同時に施術を受けた男性参加者は「ひげそりあとの部分がいちばんピリピリ感じた」とのことだったので、肌に傷があるところほど感じやすいのかもしれません。

次に、電流を利用して美白成分の入った美容液を浸透させていきます。美容液は徐々に熱を帯びてきて少し熱く感じたこともありましたが、日本語通訳の方が施術室に同席しているので、日本語で「熱い」と伝えればすぐに対応してもらえます。

その後は保湿効果のあるパックでしばらくゆったり。マッサージなども受けて終了です。


(左)まずは担当医のカウンセリングから/ (右)レーザー治療室の内部の一例

ちなみに、男性参加者は施術終了後、肌のトーンが一段明るくなりました! もともと浅黒い肌の持ち主だったので目立ったのかもしれませんが、効果がこんなにすぐに目に見えて出るとは驚きです。

病院としてはコンパクトに感じた施設でしたが、装備も多く、施術室はこまかく個室に区切られるなど中身はぎっしり。江南駅に近いのも魅力ですね。
http://www.anaclijapan.com/

さて、ツアーで体験した病院は以上4つですが、ガイダンスを受けた病院があと1つありますので、こちらも簡単に紹介します。

ニキビ治療に効果絶大
【ハヌルチェ韓方医院】

ニキビに特化した医院、というのはなかなか珍しいのではないでしょうか。こちらのハヌルチェ韓方医院は、単なる患部の治療ではなく、病気の原因を見つけ出して根本から治療することを目指している病院。治療後の患者アンケートでは満足度が94%と非常に高く、患者数もこの6年ほどで2割以上増えているそう。

来院したスターはクォン・サンウ夫妻やCN BLUE、パク・チソンなど、俳優から歌手、タレントにスポーツ選手まで幅広いようです。

韓方整形や韓方ダイエットの診療科目もあるので、韓方を利用して美しい肌とスタイルを求める現代人の悩みにトータルで解決策を示していけるのも強みということでした。

ニキビで悩むのはニキビ痕やニキビの再発。こちらではまず、外部からの鍼治療と内部からの韓方薬服用で再発を最小限に抑えます。それと同時に、韓方薬抽出物を使いニキビ痕の色素を減少。そして、現在できているものに対しては痕が残らないように治療を施し、最終的には再生治療により、ニキビができる前の肌へと蘇らせるといいます。

原因を見つけるための検査もいろいろ。肌診断はもちろんのこと、赤外線で体熱を測ったり、ストレスの検査をしたりもします。こうすることで、ニキビの正確な原因を探っていきます。

化粧品の開発も行っており、「清美顔」というブランドで出されています。商品はどれも肌への刺激が低くなるように作られ、美容パックは免疫力増進や抗菌作用に優れたもの。多くの経験とノウハウを詰め込んだ化粧品シリーズとなっているそうです。

国内に13支店(ソウルに3支店)あり、どの支店も夜21時まで長く営業しているというのは、時間の限られている旅行者にもありがたいですね。



このように、「医療観光」とひとくちにいってもいろいろな種類の診療科目があり、医院ごとに特徴があります。日本とは違う治療であることに二の足を踏み、一歩踏み出したとしても言葉の壁が気にかかるという方は多いのではないでしょうか。しかし、すでに何人もの顧客を医療観光に送り出している医療コーディネーターさんの話では、車椅子だったり、杖がないと歩けなかったりした患者さんが、数泊の治療後には自力で歩けるまでに快復する姿を何度も見ているとのことで、こういった手段を利用することも、充分に選択肢のひとつなのだと感じました。

韓国への渡航人口は一時期に比べると減りましたが、リピーターは根強く残る国。リピーターは韓国で施術を受けることに抵抗感を覚える率は少ないかもしれませんが、今後、初めての渡韓が医療観光になる人も出てくることでしょう。これからの観光のスタイルとして、引き続き注目していきたいと思います。

(協力:江南区保健所)