特集・記事
ブルーガイド編集部

話題の韓方医療観光を体験![前編]

共有する
関連ワード

「医療観光」という言葉を耳にしたことはありますか?

観光庁が定めたガイドラインによると、医療観光とは「医療行為を受ける目的で海外に渡航すること」と定義されています。しかしその医療内容は、西洋医学に基づく手術のほか、東洋医学に基づく漢方(韓方)薬の処方、スパなど、解釈は多岐にわたっています。

医療というと美容整形のイメージが比較的強い韓国ですが、実はそれだけではありません。そこで今回、韓国の江南区保健所が主催する視察ツアーに参加し、現場を体験してまいりましたので、その模様を2回に分けてレポートします。

医療観光の一大拠点 江南[カンナム]区

江南区は、ソウルを東西に流れる漢江[ハンガン]の南側に位置し、狎鴎亭[アックジョン]やカロスギルなど、日本人観光客もよく訪れるエリアのある区です。芸能人事務所も数多くあるので、K-POPや韓流スターのファンにとってもおなじみの場所が点在しています。

その江南区。実は区の財政自立度はソウル市で1位、かつ、居住人口の月平均所得も高い<お金持ち>の街。医療機関の数も豊富で、中でも、外国人患者誘致登録のあるソウル市内の医療機関のうち、49%にあたる736軒が江南区に所在しているのです。ジャンルも韓方、整形、皮膚、脊椎疾患、人間ドック、不妊治療と幅広く集まっています。


江南区保健所所長のソ・ミョンオク氏

江南区の医療機関の強み、それはなんといってもその価格と設備です。施術にかかる費用は日本の約3分の2。また、内視鏡手術に使われる医療用ロボット「ダ・ヴィンチ」の保有台数も江南区だけで21台(日本は全国で40台ほど)。また、日本から4時間以内でアプローチできるのも魅力のひとつとなっています。

昨年6月に区が開所した「江南メディカルツアーセンター」も医療観光に一役買っている施設。狎鴎亭洞の現代百貨店隣という好立地にあり、医療関連の相談や予約、無料診療体験などが行われている場所です。ホームページも日本語対応で、医療機関案内、リボーン(Re Born=生まれ変わる)と名付けられた医療観光プログラムの紹介や予約、観光案内などが掲載されています。そのほか、各医療機関の施術費用についても明記されているのが嬉しいですね。
http://medicaltour.gangnam.go.kr/jsp/jp/index.jsp

ちなみに、運営元である江南区保健所も視察させていただきましたが、施設内には区民のための第一次診療機関として各種診療科や健診設備が用意されており、まるで総合病院のよう。メタボ対策や禁煙治療まで細かく用意されています。

旧江南区庁をリノベーションして使用したため、区の職員さん曰く「外観は古いままでお恥ずかしいですが……」とのことでしたが、なんのなんの、内部は非常に清潔で機能的な建物でした。


(左)地下1階から5階まで施設がぎっしり (中)トレーニングセンターも (右)このようにこまかく診療科が分かれています

さて、それでは今回訪問した医療機関を紹介していきましょう。

西洋医学と韓方の総合検診プログラムが魅力
【廣東[クヮンドン]韓方病院】

韓国のコンビニで飲み物を買うとき、トウモロコシひげ茶やミネラルウォーターの「済州サンダス(三多水)」が並ぶのを見かけたことはありませんか? これら飲料のメーカーは韓国有数の製薬会社「廣東製薬」。そう、こちらの病院を運営する会社なのです。


(左、中)9階建ての建物は、地下1階から5階までが診療、6、7階は入院用の病室/ (右)廣東製薬の商品。左からサンダス、ビタ500、トウモロコシひげ茶、ホッケ(ケンポナシ)茶

博愛と奉仕の念に基づいて設立され、2年連続で外国人最多来院施設として表彰されたこちらは、韓方と西洋医学をコラボさせた韓国初の病院としても認知されています。韓医学の陰陽五行説に基づいた施術を行う五行センターのプログラムはデトックス、ダイエット、ニキビ治療、アンチエイジングなどさまざま。中でもダイエット入院は2泊3日~3泊4日が主流で、旅行客でも短期間で施術が受けられると人気だとか。1カ月の施術で10~12%減量可能なので、短期の場合は3%ほどが目安。処方される韓方薬は1カ月分で75万W(2014年7月現在の日本円で75000円)とのことです。

併設の脳神経センターなどで治療を受けた場合にはリハビリが必要なこともありますが、帰宅後も自分でケアできるよう、マンツーマンの運動プログラムも取り入れて指導してもらえる点も助かります。また、韓方処方を受ける人は健康診断センターでの人間ドックが無料になったり、施術コースによっては入院室料が無料になったりと、患者へのサービスも充実しているのが嬉しいところです。


(左)エステサロンのような優雅な受付/ (中)入院室の一例。コンパクトながらも過ごしやすい空間/ (右)運動治療室

この日、訪問した記者団が体験したのは「脂肪鍼」「カッピング」「糸リフティング」など、それぞれの希望と身体の状態に合わせたメニュー。待合室で問診票を記入後、更衣室で着替えて個室に向かいます。

間接照明の室内は非常にリラックスできる空間。大満足ゆえに、3日後の予約をその場で入れてしまう参加者も……!ちなみに編集Tは、センター長のチョ・ジンヒョン先生診断のもと、脂肪鍼を体験。お腹に老廃物がたまりすぎているから何をやっても痩せられないのよ、とのことでデトックスを推奨され、鍼のあとは大きな風呂敷包みのようなものをどさっとお腹に載せられました。この中身は温めた薬草。お腹全体に広げて十数分、これが気持ちよくてついウトウト……。はたして薬草の成分はお腹にしみこんだでしょうか? デトックス効果に期待します!


(左)待合室にて。問診票は日本語でOK/ (中2枚)個室内の様子と、脂肪鍼体験。おなかに刺さった10本近い鍼には微弱電流が流れている/ (右)五行センターのカウンセリングルーム

メニュー内容の説明はホームページに記載がありますが、日本語対応の窓口に直接問い合わせも可能です。詳細は下記へ。
http://www.ekwangdong.jp/

頭皮と毛髪に関することならおまかせ
【LEE MOON WON[イ・ムンウォン]韓方クリニック】

「少し横になって休んでいればすべて解決しますよ」と語るのは、院長のイ・ムンウォン氏。毛髪再生センターを名乗るこちらのクリニックでは、脱毛症や頭皮疾患を治療・予防するためのトータルトリートメントサービスが提供されています。


(左)受付の壁面装飾もオシャレ/ (右)院長が開発した商品たちがずらり

治療には外用薬、内用薬の両方が使われるのですが、これらはすべて院長が開発したもの。また、生活習慣によって傷んだ髪や、加齢による悩み、縮毛矯正などにも対応しており、その施術に使われるトリートメントやカラーリング、パーマの薬剤も同様です。

基本的に自分の髪の毛を健康にする方向で治療再生を促進させますが、人によっては移植やウィッグという選択肢もあるとのことでした。

実年齢より若く見える院長。その髪のボリュームが若さを醸し出しているように思えたのですが、「髪や肌が見た目の若さを決める。見た目年齢はマイナス5歳」との理念がおありとのことで、それをまさに体現しているなと深くうなずけます。


(左)何事にもこだわり抜くイ・ムンウォン院長/ (右)特別に見せていただいたオレンジのケースはなんとエルメスの特注品! 真ん中に写っている商品がすっぽり入ります

こちらではベーシックなメディカルヘッドスパを体験。頭皮アロマ経絡セラピーでは強力なミントの入った薬剤を塗布され、頭皮に揉み込まれるとなんともひんやり。「効いてるなあ」という実感が湧いてきます。その後は韓方アロマミストのスチームやシャンプー&トリートメント、そして首から肩へのマッサージ(気持ちいい!)。最後はブローで仕上げますが、施術後は髪のハリとツヤが段違い! カラーリングで傷んでいた髪がかなり健康的な印象に……。そして、自分ではまずやることのないゴージャスな巻き髪スタイル仕上げていただき、さらに気分を上げさせていただきました。


(左)施術室内部。鏡台もかわいらしいです/ (中2枚)施術の様子。シャンプーは施術室に隣接したブースで、カラーやカットは別室の「ヘアラボ」で行われます/ (右)ブロー前に頭皮のチェック。編集Tも少し前頭部が薄くなっている(!)とのことで、薬剤を塗布されました



参加者男性の施術前(左)と施術後(中)、つむじのあたりがふっくらボリュームアップしています!/ (右)オリジナルの頭皮シャンプーとヘアエッセンシャルセラム。セラムは髪がツヤツヤに

白髪対策の薬剤についても研究を重ねているそう。今回参加のアラフォー、アラフィフ世代はそのできあがりを今からわくわくして待とうと決めました。

実績に裏打ちされた院長やスタッフのきびきびとした施術がとことん気持ちよいクリニックです。日本の美容院でもヘッドスパのメニューはありますが、韓方薬剤を併用するこちらの施術は、今までとはまた違った体験でした。日本語対応の相談窓口もあるので、髪でお悩みの方は扉を叩いてみては?
http://www.jap.leemoonwon.com/jap/index.html

(後編に続く)