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    TOKYO2020をパラ陸上ファンで埋め尽くしたい  (株式会社クレーマージャパン)

  TOKYO2020をパラ陸上ファンで埋め尽くしたい  (株式会社クレーマージャパン)

テーピングやケア用品などスポーツ医科学の分野を得意とし、体育着や部活のウェア、そしてトレーニング講習会の実施など、学校現場との接点が多かったクレーマージャパンがパラ陸上と関わりはじめたのは、いまから10年ほど前のこと。学生時代に陸上部だった大家秀章さんが、部の先輩で義肢装具士となっていた沖野敦郎さんから「義足の選手と一緒に練習しないか」と誘われたのがきっかけだった。ある日、車いす用ユニフォームを担当していたメーカーが撤退することを聞いた大家さん。「自転車競技ウェアを製作していたので、前傾姿勢や伸縮性など、車いすにも応用できるのではないか」そう考え、協力したいと日本パラ陸連に申し出たのだ。 クレーマージャパンの車いすユニフォームは世界パラ陸上クライストチャーチ2011を皮切りにロンドン、リオのパラリンピックでも採用され、世界パラ陸上ロンドン2017からは立位も含めたすべてのパラ陸上日本代表の公式ユニフォームとなった。単純にMやLというサイズではなく、選手一人ひとりの体型に合わせて丈を詰めたり、ファスナーをとったりという細やかな対応が必要で、ほぼオーダーメイドになることもあるが、選手の声を反映させて進める体制には定評がある。 2020年の公式ユニフォームは、パラ陸上への関心を集めて日本全体で盛り上げるために「デザインの候補をいくつか用意して投票で決めることを検討している」というSAQ・CGP統括部長の青葉貴幸さん。 そもそもクレーマージャパンは陸上との縁が深い。外園隆代表は、現在も大東文化大学陸上部の女子長距離監督。同社の原田康弘さんは100m、200m、400mの元日本記録保持者で、現在は日本パラ陸連のヘッドコーチを務めていて、社員にも陸上経験者が多い。だからこそ、選手に寄り添い、一緒に盛り上げていこうという思いがひときわ強いのだろう。 陸上は会場が大きいこともあり、パラ陸上の日本選手権でも空席が目立ってしまうのが現状だ。東京パラリンピックでは、新国立競技場に多くの観客が入ったなかで気持ちよく競技してほしいという増田明美日本パラ陸連会長の想いに同社も賛同。陸上スクールにパラアスリートを招いたり、国体など健常者の大会でパラ陸上に触れる機会を増やすなど、パラ陸上の認知度を上げるための普及活動を独自に開始している。 「私たちはただのスポーツ用品メーカーではない」――よりよいスポーツ環境をクリエイトすることを企業理念に掲げるクレーマージャパンは、2020年に創業30年を迎える。東京パラリンピックに向けて、公式ユニフォームの提供にとどまらず、ケアやトレーニングなど技術面でのサポートにも着手。新国立競技場をパラ陸上ファンでいっぱいにするため、最強の裏方集団は進み続ける。 取材・文/山本千尋 写真/依田裕章・クレーマージャパン


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