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  見て、知ってもらうことが私たちの役目 松本功さん(その3)

見て、知ってもらうことが私たちの役目 松本功さん(その3)

「見て、知ってもらうのが私たちの役目なんじゃないかな」 インタビュー中、松本さんの口から何度もこのフレーズが出た。 「普段は家の近くを走っているのですが、わざと小学校のまわりを通ったりします。子どもたちは好奇心旺盛なので、私のことを指さして友達と話したりしてきます。でも慣れてくると興味を示さなくなる。ワタシ的にはちょっとさみしいんですが(笑)、これが狙いなんです」 最近では小学校に招かれて、体験授業を行なうこともある。まず、松本さんが装着しているメカニカルな義足に男子児童は釘付け。そのあとにスポーツタイプの義足に履き替えるのだが、そこで断端(脚の切断面)を子どもたちに見せるという。 「見たくない人は見なくてもいいよ、というのですが、みんなかぶりついて見るんです。女の子も〝ぷよぷよしていてカワイイ〞と言ってくれてるみたいです(笑)」 義足をつけている人や障がい者が、普段の日常のなかにいてごく当たり前、と感じてほしいというのが、松本さんの考え方だ。 松本さんの義足との付き合いは、もう50年近くになる。生後間もなく、右足の裏に肉腫があることがわかり、9歳の時にヒザ下18㎝のところで切断をした。 「切断の手術後、包帯がとれ、事態がわかった時は頭の中が真っ白になりました。ただ、私が入院していた病院に、足を切断して義足をつけていた若い女性がいたんです。彼女はスカートをはいて堂々と義足を出して、スイスイ歩いていました。それを見た時に『自分もあのように歩けるんだ』と吹っ切れて、ポジティブになりました。義足、それを使って歩く姿を見せてくれたその人には、本当に感謝しています」 幼いころのそんな思い出が、「発信」を続ける原動力になっているのは間違いない。 「夢はトライアスロン出場です」という松本さん。魅力的な写真や動画を通して、私たちにいろいろなことを伝え続けていただきたい。


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