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  オーダーメイドが生み出す揺るぎない信頼感 山田 賀久【エンジニア】(その2)

オーダーメイドが生み出す揺るぎない信頼感 山田 賀久【エンジニア】(その2)

現在、日進医療器のスポーツ用車いすのラインナップは、バスケットボール、テニス、レース用、チェアスキーの4種目のモデルを用意。 レース用モデルには、軽量で剛性が高いカーボンをメインフレームに使ったモデルとオールアルミのモデルがある。軽ければいいというものではなく、素材によってモデルの特性が変わるのだそうだ。 「選手用モデルは選手の身体に合わせないといけないのですが、フルカーボンは作ったあと、5㎜動かしたくても動かせない。アルミだと手直しができるので、カーボンはメインフレームだけに使っています。また、カーボンは振動吸収性が高いのでトラック競技よりもマラソンのほうが向いているという人もいますが、逆にアルミのほうがいいという人もいます。柔らか過ぎるとパワーが逃げてしまい、硬過ぎると身体への衝撃が大きくなってしまう。種目によって向き不向きがあり、選手の好みによって選べるようにしています」 もちろんスポーツ用モデルでも、注目はオーダーメイドモデルだ。 「多くのメーカーは、標準仕様のモデルがあって、そこから寸法などを選ぶといった方法です。日進は標準仕様のモデルもありますが、フレームのいろいろな部分を曲げたり、その選手に合わせた形を作っていくフルオーダー方式のモデルもあります。多くのメーカーは、ここまで極端なオーダーはやっていません。日進は一般向けの車いすでもオーダーメイドが得意の分野なので、スポーツ用車いすでも選手が納得のいく車いすを作っています」 フルオーダーだと、選手の体格などに合わせて、すべての部品を製作しなければならなくなる。そうなると各分野のエキスパート、熟練した〝職人〟の技の見せ所だ。とくに溶接の技術には定評があり、耐久性の高さは使用した選手のお墨付きだ。アルミフレームの加工技術にも優れ、パイプの円形を保ちながら曲げる技術は、職人芸といっていいだろう。 車いすを作り続けて50年以上の歴史を誇る日進医療器。次はどんな車いすを開発するのか、今から楽しみだ。   写真/高須 力、辻野 聡 文/辻野 聡


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