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  誰もが走れる未来を目指して 遠藤 謙【エンジニア】(その2)

誰もが走れる未来を目指して 遠藤 謙【エンジニア】(その2)

開発の手順は、形状や重さなどの基本仕様は遠藤氏が設計し、東レ・カーボンマジックがカーボンの種類、積層などを考え、いろいろなオプションのなかから最終的に遠藤氏がチョイスをするというもの。  東レ側が体制を整えて開発が始まり、試行錯誤を繰り返しながら1年でスポーツ用義足、サイボーグジェネシスが誕生した。しかし、スポーツ用義足は開発の歴史が浅く、未知の部分が多い。このモデルも最終形ではなく、まだまだ改良する余地はある。  「外国のメーカーのスポーツ用義足と肩を並べるところまでは来たと思うのですが、答えが未だにわからないんです。どうやったら速くなるのか正直わからない。答えがないところを、自分たちで仮説を作って検証していくプロセスが、スポーツの最高峰だと思うのですが、それはパラスポーツも同じ。足がない選手が、どういう練習をして、どんな義足を履いたら速く走れるか、仮説を立てて実証実験しているのが我々がやっていること。カーボンはとくに難しい素材なので、開発にお金と時間がかかり、製造するのも時間がかかる。それを効率よくやるのは、すごく難しい」。  サイボーグのラボがあるのは、東京の江東区、新豊洲ブリリアランニングスタジアム。ここは60m陸上競技トラックを備えた、全天候型の施設。ラボに併設されているので、プロダクトをすぐにテストすることができ、サイボーグの選手の練習場所としては、これ以上に理想的な施設はない。


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