特許などに関して、特許庁への出願・登録の手続きを発案者にかわっておこなう
弁 理 士
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 ちょっとしたひらめきから新しい商品が生まれ、それが大ヒットする。この新しいアイディアについての権利は、工業所有権とよばれ、特許庁に出願・登録することにより、他人が勝手に盗んで使うことのないよう保護を受けることができます。この出願・登録申請は一般個人でもできますが、とても複雑な手続きであり、そこで、この手続きを発案者にかわっておこなうのが弁理士です。
 工業所有権には、発明とよぶにふさわしい新しい技術にあたえられる特許権、これまでの技術に新しいアイディアを取り入れ、実用性を高めたものにあたえられる実用新案権、そのほか意匠(いしょう)、商標など4種類があります。弁理士は、発案者からの話をよく聞き、まずそれがこの4種類の権利のうちのどれにあたるかを判断します。そして、その種類に応じた出願書類を作りますが、たとえば特許なら、過去の特許に同じようなものはないかを調べ、さらに今後の商品化の可能性を考えて特許出願の範囲を決めます。発明の内容をわかりやすく表現した明細書を書き、図面、願書をそえて出願します。このほか、発案者の権利が侵害されたばあい、異議申し立てや起訴も代行します。つまり、弁理士は発案者の権利を法律で守る専門家なのです。

仕事の環境
●弁理士には、個人で特許事務所を開業するか、大きな事務所で働くか、大手企業の特許部門で働くか、の三つのかたちがあります。●女性の弁理士はまだ全体の約4パーセントほどですが、わずかずつ増えてきています。●労働時間に関しては、出願を急ぐときなど、何日も徹夜することもあります。

弁理士になるには

これまで・今後
 現在全国に3600人強の弁理士がいます。弁理士試験は狭き門で、毎年の合格者は120人ていどのため、その数はわずかずつしか増えていません。  しかし、工業所有権の出願数はますます増えている状況(毎年65万件をこえるアイディアが特許権、実用新案件、意匠権、商標権として出願されています)で、弁理士不足が続いています。  また、ビジネスが国際化するにしたがい、海外から日本、日本から海外へと、国際出願などの仕事も増えてきています。

先輩からのアドバイス
 最近では趣味の発明サークルなども盛んですが、私たち弁理士に求められているのは、そうした発明やアイディアの価値を見きわめるプロとしての目であります。なぜならば、弁理士の収入は成功報酬であり、申請した出願が通らなければ謝礼は得られないからです。ですから、幅広い知識が必要となります。(弁理士・中村幸夫)

こんな人が向いています
  発案者からもちこまれるアイディアや発明を理解できるだけの教養が必要であり、とくに理工学系の知識が求められます。また、国際出願の仕事も増えてきていますので、語学力も必要になってきています。
『中学生のための仕事発見ガイド』(実業之日本社)より。

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