ツナ日記 ムルフン/ラダック前編
Index
0821 イスタンブールに宿泊
0822 イスラマバード行きの飛行機
0823 ギルギット行きのバスにて
0824 ムルフン村にて宿泊
0825 ムルフン村にて宿泊
0826 ムルフン村にて宿泊
0827 ムルフン村にて宿泊
0828 ムルフン村にて宿泊
0829 ムルフン村にて宿泊
0830 シムシャールにて宿泊
0831 シムシャールにて宿泊
0901 パスーにて宿泊
0902 パスーにて宿泊
0903 ムルフン村にて宿泊
0904 ムルフン村にて宿泊
0905 ムルフン村にて宿泊
0906 ムルフン村にて宿泊
0907 ムルフン村にて宿泊
0908 カリマバードにて宿泊
0909 ワールピンディー行きのバス
0910 イスラマバードにて宿泊
0911 ラワールピンディーにて宿泊
0912 アムリトサル発デリー行
0913 ニューデリーにて宿泊
0914 ニューデリーにて宿泊
0915 デリー発マナーリ行きのバス
0916 ケーロンにて宿泊
0917 ジンジンバーにて宿泊
0918 ガタ・ループにてキャンプ
0919 パンより35キロ北の高原
0920 ギャーにてキャンプ
0921 ギャーにてキャンプ
 
06/08/31(Thu)シムシャールにて宿泊(Shimshal)
アーミーナイフで小麦の収穫。

小麦が黄金に輝く畑へ行き、始まったばかりの収穫を手伝った。村人は慣れた手つきで鎌を操り、ザクザクと穂を刈り取って行く。余っている鎌が無かったので、いつも持ち歩いているアーミーナイフ(ビクトリノックス)のノコギリを使うことにした(*1)。大人も子供も、赤ちゃんはおんぶされて、一家全員で小麦を刈り取ってゆく。
作業は大変だろうけれど、無事に収穫を迎えた安心感があり、協力し合えて皆とっても楽しそう。作業が一段落した時、おじさんがこう言った。

「昔ながらの手作業じゃもう時代遅れだ。大変でしょうがない…。草刈り機を日本政府に頼んで送って貰えないか?」<協力>という収穫の楽しい雰囲気に浸っていたので、その一言はちょっとフクザツに心に届いた。
農業の機械化が殆ど究極まで進んだ日本は、ゴジャールエリアと物質的にも精神的にも、とても遠い世界にあると思う。機械にばかりに頼ると、今よりも家族同士の協力は減る。親から子への交流も少なくなる。日本の歴史がそうだったように、若者は都会へと出て行ってしまう…かもしれないなんてついつい思ってしまう…。でも、今さら物質社会に溺れた自分が、便利さを求める彼らに何を言うことも出来ない。それに、近代化は勿論大切だし…。

そんな様なことをおじさんに言うと、「まず我々の文化や家族が大切だ。近代化と伝統を守るバランスを、俺達はいつも考えなければならない。俺達イスマイル派はいつも協力を大切にしている。物質主義に走るようなことはしないよ。ただ、草刈り機は俺達の農業にとって必要なんだ。」
こんな田舎に住んでいながら、しっかりとした考えを持っているなと思った。英語も僕よりずっと上手だし…。その裏には、しっかりとした教育があるからだろう。イスマイル派の地域は、男女共に教育に力を入れている。こんな話を何人かとしたけれど、必ず自分たちの宗教(イスマイル派)の話が出て来た。

日本や欧米、凄い勢いで経済成長して行く発展途上国…。物質主義という、一種の宗教に飲み込まれ、伝統的な文化や心を失ってしまった地域を多く目にして来た。経済発展している地域は、お金やモノが神に取って代わり、多かれ少なかれ無宗教(という名の物質主義者)の人々が増えて行っている。日本はその最たる国だろう。

仏教・イスラム教・キリスト教…etc、旅の中で色々な宗教に触れ、同時に失われて行く大切なモノや心も見て来た。あらゆる宗教に関係なく、物質主義に溺れた時に、人々や社会は無宗教になってゆく。宗教というと誤解されるかもしれないけれど…(*2)。
だからこそ、社会が近代化する時の大きな舵が、信仰心だと思う。ワヒ族にとっても、日本にとっても、地球全体にとっても…。
信仰心と物質主義、途上国と先進国。調和の取れた社会の為に出来ることは沢山ある。

*1…ノコギリは便利な道具。森での工作や、ノコギリ鎌みたく使えたり(ナイフよりも安全)、大根おろしも作れたりする。
*2…広い意味で宗教とは、人間よりもこの世の全てよりも、圧倒的に大きく偉大な存在(=神)を感じ、敬う(うやまう)ことが出来る思想の事だと思う。

写真上…収穫している畑で、りんごをかじる子供。
写真中下…一緒に収穫をさせて貰った。






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